雨の日に大活躍してくれたお気に入りのカッパやレインウェア。
濡れたまま放置すれば雑菌やカビの原因になりますし、できるだけ早く乾かしたいものですよね。
そんな時「乾燥機を使えたら楽なのに…でも大丈夫かな?」と、不安に思った経験は誰にでもあるのではないでしょうか?
実は、正しいやり方と手順さえ守れば、多くのカッパは乾燥機で安全に乾かすことが可能です。
それどころか、適切な熱を加えることで、購入当初のような撥水性が復活するという、非常に大きなメリットまで得られるのです。
しかし、その一方で、知識なく自己流で乾燥機を使ってしまうと、生地を修復不可能なほど傷めてしまう危険が伴うのも事実です。
最悪の場合、一度の失敗で大切なウェアが二度と使えなくなってしまうことも。
この記事では、お手入れの第一歩である乾燥機マークの正しい見方から、最適な温度設定や何分かけるべきかといった具体的な手順まで、専門的な情報を分かりやすく、そして詳しく解説していきます。
特にデリケートな扱いが求められるゴアテックス素材のメンテナンス方法や、コストパフォーマンスの高さで人気のワークマン製品に関する注意点、さらには家庭用とはパワーが違うコインランドリーの乾燥機を安全に活用するための知識まで、あなたが抱える「カッパの乾燥はだめ?」というあらゆる疑問に、この記事一つで答えを出します。
もうカッパのお手入れ方法で迷うことはありません。
ポイント
- ゴアテックスなど素材別の正しい乾燥方法と注意点
- 新品同様の撥水性を取り戻すための熱処理のコツ
- コインランドリーの乾燥機を安全に使うための知識
カッパを乾燥機にかけるのは大丈夫?基本知識
- まずは乾燥機マークを確認しよう
- 乾燥機が危険でだめと言われる理由
- カッパやレインウェアの素材による違い
- ゴアテックス素材の注意点とは?
- よくある乾燥機の失敗例と対策
まずは乾燥機マークを確認しよう
カッパやレインウェアを乾燥機にかけるかどうかを判断する上で、何よりもまず、絶対的に確認すべきなのが「洗濯表示」です。
お手持ちのウェアの内側についている品質表示タグには、その製品が乾燥機(タンブル乾燥)に対応しているかどうかを示す国際規格のマークが必ず記載されています。
このマークは、いわば「衣類の取扱説明書」。
これを無視して自己判断で乾燥機に入れてしまうと、生地が想定外に縮んだり、防水・撥水機能が著しく損なわれたりする直接的な原因となります。
大切なウェアを長く使い続けるためにも、必ずチェックする習慣をつけましょう。
乾燥機OK・NGのマーク
乾燥機に関する洗濯表示は、2016年12月から新しい記号に変更されています。
正方形の中に円が描かれたマークが基本となり、主に以下の3種類を覚えておけば、ほとんどの製品に対応できます。
マーク | 意味 | 解説 |
---|---|---|
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タンブル乾燥ができる(低温) |
排気温度の上限は60℃という指定です。 このマークがある場合は、家庭用乾燥機の「低温モード」や「デリケートコース」などで対応できます。 レインウェアでは最もよく見られる表示の一つです。 |
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タンブル乾燥ができる(通常) |
排気温度の上限は80℃です。 比較的熱に強い素材であることを示しますが、レインウェアの場合は念のため最初は低温から試すのがおすすめです。 |
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タンブル乾燥は禁止 |
このマークがある場合は、理由を問わず絶対に乾燥機を使用してはいけません。 熱によって生地が溶けたり、防水コーティングが剥がれたりする危険性が非常に高いため、必ず自然乾燥させましょう。 |
※画像は消費者庁HPより引用
ポイント:すべての基本は洗濯表示の確認から!
どんなに高価なアウトドアブランドのレインウェアであっても、あるいは安価な作業用カッパであっても、お手入れの基本は同じです。製品の仕様によっては乾燥機が使えない場合も多々あります。
思い込みや「たぶん大丈夫だろう」という安易な判断はせず、必ずタグの表示に従ってください。(参照:消費者庁「新しい洗濯表示」)
乾燥機が危険でだめと言われる理由
「カッパは乾燥機にかけるとだめになる」という通説が広く浸透しているのには、明確な理由があります。
それは、実際に間違った使い方によってウェアを修復不可能な状態にしてしまうケースが後を絶たないからです。
乾燥機がなぜ危険とされるのか、その科学的な理由を理解し、トラブルを未然に防ぎましょう。
主なリスクは以下の3つに大別されます。
1. シームテープの熱による剥離
本格的なレインウェアは、生地の縫い目から水が侵入するのを防ぐために、裏側から「シームテープ」という特殊な防水テープが熱によって圧着されています。
これは防水性の要とも言える部分です。
しかし、このテープの接着剤は熱に弱い性質を持っており、乾燥機の高温に長時間さらされると、接着力が弱まり、最終的には剥がれてしまうことがあります。
一度剥がれたシームテープは元に戻すのが難しく、防水ウェアとしての致命的な欠陥となります。
2. 防水透湿素材(メンブレン)の損傷
ゴアテックスに代表される高機能なレインウェアには、「防水透湿性素材(メンブレン)」という、水滴は通さず水蒸気だけを通過させる特殊なフィルムが生地にラミネート(貼り合わせ)されています。
このフィルムは非常にデリケートで、過度な高温にさらされると素材そのものが変質・損傷し、機能が著しく低下する恐れがあります。
そうなると、外からの水は防げても、内側からの汗(水蒸気)を逃がす「透湿性」が失われ、結果的にウェア内が自身の汗で蒸れてびしょ濡れになるという、本末転倒の状態に陥ります。
3. 生地の物理的な変形や溶解
特に安価な作業用カッパなどに使われている塩化ビニル(PVC)や、劣化したポリウレタン(PU)コーティングといった素材は熱に非常に弱いです。
これらの素材を乾燥機に入れると、熱によって生地が硬化してゴワゴワになったり、最悪の場合は収縮して型崩れを起こしたり、溶けてしまったりする危険があります。
一度物理的に変形・溶解してしまった生地は、二度と元に戻すことはできません。
注意:ウェアを劣化させる最大の敵は「高温」!
これらのリスクのほとんどは、「高すぎる温度」が直接的な原因で発生します。
たとえ洗濯表示で乾燥機の使用が許可されている場合でも、それはあくまで「低温」という条件付きであることがほとんどです。
高温での乾燥は百害あって一利なしと心得え、必ず低温設定を使用することが、ウェアを長持ちさせる絶対条件です。
カッパやレインウェアの素材による違い
ひとくちに「カッパ」や「レインウェア」と言っても、その心臓部である防水素材は多種多様です。
そして、素材の化学的な特性によって乾燥機への耐性が大きく異なります。
お持ちのウェアがどのタイプの素材でできているのかを把握しておくことは、適切なお手入れの第一歩と言えるでしょう。
ここでは市場でよく見られる代表的な素材と、乾燥機使用における注意点を詳しく解説します。
素材の種類 | 特徴と乾燥機の可否 |
---|---|
塩化ビニル (PVC) |
コンビニなどで手に入る安価なビニールガッパの多くがこの素材です。 防水性は高いですが、透湿性はありません。 熱に非常に弱く、耐熱温度は60〜80℃程度とされています。乾燥機の使用は絶対に避けるべきです。変形や溶解のリスクが極めて高い素材です。 |
ポリウレタン (PU) コーティング |
多くのレインウェアで採用されている、生地の表面や裏面にポリウレタン樹脂を塗布する防水加工です。 比較的安価で、様々な製品に用いられています。 熱にはあまり強くなく、特に着用と洗濯を繰り返して劣化したPUコーティングは、熱によってベタつきや剥離(加水分解)が促進される恐れがあるため、乾燥機OKの表示があっても低温で短時間に留めるのが賢明です。 |
ナイロン / ポリエステル |
レインウェアの表地(ベースとなる生地)として最も一般的に使われる化学繊維です。 これら繊維自体は比較的熱に強く、耐熱性も高いですが、レインウェアとしては上記の防水コーティングや下記のラミネート加工と組み合わされているため、結局はどのような防水加工が施されているかに依存します。 |
防水透湿素材 (ゴアテックス®ファブリクスなど) |
防水性と透湿性という相反する機能を両立した高機能素材の総称です。 代表格であるゴアテックス®ファブリクスを始め、各社が独自の素材を開発しています。 多くの製品で低温の乾燥機使用が推奨されており、後述しますが、適切な熱処理は撥水性を回復させるという重要な役割も果たします。 |
こうして見ると、素材によって扱い方が全く違うのがよく分かりますね。
特に安いカッパほど、高温に弱い傾向があるので乾燥機は避けた方が安全そうです。
自分のウェアの素材が分からない場合は、メーカーの公式サイトで製品情報を確認するか、タグの洗濯表示を頼りにするのが一番確実ですよ。
ゴアテックス素材の注意点とは?
[MAEGAKI] AP2000 ゴアテックス® レインスーツ
※出典:Amazon
厳しい自然環境下でも快適性を保つため、多くのアウトドア愛好家から絶大な信頼を得ている高機能素材「ゴアテックス®ファブリクス」。
高価な素材だけに、お手入れに細心の注意を払う方も多いのではないでしょうか。
しかし、実はゴアテックス製品は、むしろ定期的な洗濯と乾燥機による適切な熱処理が、その性能を維持・回復させるために推奨されています。
なぜ乾燥機が推奨されるのか?そのメカニズム
※出典:Amazon
ゴアテックスウェアの最も外側にある表生地には、水を玉のようにコロコロと弾くための「DWR(Durable Water Repellent:耐久撥水)加工」が施されています。
この撥水性は、生地の表面にある「撥水基」という目に見えない微細な毛のようなものが、きれいに立ち上がっていることで機能しています。
しかし、着用による摩擦、あるいは目に見えない皮脂や泥汚れの付着によって、この撥水基は簡単に倒れてしまいます。
撥水基が寝てしまうと、生地表面が水の膜で覆われ、水を弾かなくなります(これを「ウェットアウト」と呼びます)。
生地がウェットアウトすると、ウェア内部の汗(水蒸気)を外に逃がすための通り道が塞がれ、結果として「蒸れ」や「内側からの濡れ」を感じる原因になるのです。
ここで重要な役割を果たすのが「熱」です。
洗濯で汚れを完全に落とした後、乾燥機やアイロンで適切な熱を加えることで、倒れていた撥水基が再びきれいに起き上がり、購入時に近い撥水性を取り戻すことができます。
これはゴアテックスの性能を最大限に引き出すための、非常に重要なメンテナンス工程です。
ゴアテックスの撥水回復プロセス
- 着用による摩擦や汚れの付着で撥水基が倒れる → 生地が水を含み、水を弾きにくくなる
- 洗濯して表面の汚れをしっかり落とす → 撥水基はまだ倒れたまま
- 乾燥機(低温)またはアイロン(低温・あて布)で熱を加える → 熱エネルギーによって撥水基が再び整然と立ち上がる
- 新品同様の撥水性が復活!
このメンテナンス方法については、ゴアテックスの日本公式サイトでも詳しく解説されています。(参照:GORE-TEX ブランド公式サイト「洗濯方法」)
ゴアテックスを乾燥機にかける際の注意点
これほどメリットの多い乾燥機ですが、もちろん注意点を守ることが大前提です。
- 必ず個別の洗濯表示を確認する:ゴアテックス生地自体は熱処理を推奨していますが、ウェアのデザインやファスナー、接着パーツなどが熱に弱い場合があります。必ず製品ごとの表示を守りましょう。
- 設定は必ず「低温」で:前述の通り、高温は内部のゴアテックスメンブレンを傷めるリスクがあります。撥水基を立たせるのに高温は必要ありません。
- 時間は20分程度が目安:ウェアが完全に乾いてから、追加で20分ほど熱処理を行うのが最も効果的です。
よくある乾燥機の失敗例と対策
ここでは、実際に多くの方が経験しがちな乾燥機にまつわる典型的な失敗例と、それを未然に防ぐための具体的な対策を詳しくご紹介します。
「これくらい大丈夫だろう」という油断が、取り返しのつかない事態を招くこともあります。ぜひ参考にしてください。
失敗例1:シームテープが剥がれてボロボロに
原因:洗濯表示を無視した高温設定、または必要以上の長時間の乾燥。
状況:乾燥機から出したら、ウェアの内側の縫い目に沿って貼ってあったテープが、ところどころヨレヨレになって浮き上がり、一部は完全に剥がれていた。
次の雨天時に着用したら、その縫い目から冷たい水が染みてきて、全く防水の役割を果たさなかった…。
対策:必ず低温設定を守り、時間は必要最小限に留めることが鉄則です。
特に、長年使用して接着剤が劣化している可能性があるウェアは、より慎重な扱いが求められます。
失敗例2:生地の表面がテカテカ・ゴワゴワに硬化した
原因:素材の耐熱温度を超える、高すぎる温度設定による生地表面の熱ダメージ。
状況:ナイロン製のレインウェアを急いで乾かそうと高温で乾燥させたら、一部分がアイロンを強く当てすぎた時のように不自然にテカり、手触りもパリパリ、ゴワゴワに硬くなってしまった。柔軟性が失われ、着心地も最悪に。
対策:洗濯表示で中温(80℃上限)が許可されていても、最初は低温から試すのが最も安全です。
特にナイロンやポリエステルといった化学繊維は、熱によって一度変質すると元には戻らないことを覚えておきましょう。
失敗例3:洗濯機・乾燥機が異常振動を起こし、エラーで停止した
原因:防水性の高いウェアの内部に水が溜まったままになってしまうことによる、脱水・乾燥時のアンバランス。
状況:カッパを他の洗濯物と一緒に洗濯し、そのまま脱水・乾燥工程に進んだら、途中で洗濯槽がガタンガタンと激しく揺れ、大きな音を立ててエラー表示が出て停止してしまった。
最悪の場合、故障の原因にもなりかねない。
対策:レインウェアは水を通さないため、脱水時に遠心力で水が外に抜けず、内部に水風船のように溜まってしまうことがあります。
これが槽の回転バランスを著しく崩す原因です。
脱水は1分程度の短い時間で済ませるか、脱水工程自体をスキップし、取り出して大きなタオルで水気を丁寧に拭き取ってから乾燥させるのが最も安全で確実な方法です。
大丈夫!カッパを乾燥機で正しく使うやり方
- 最適な温度と設定のポイント
- 乾燥時間は何分が目安?
- コインランドリー利用時の注意点
- ワークマンのカッパは乾燥機OK?
最適な温度と設定のポイント
カッパを安全かつ効果的に乾燥させるためには、温度とコース設定が最も重要な鍵を握ります。すべての基本となるポイントは「低温で、優しく、時間をかけすぎない」ということです。
まず、ご家庭の衣類乾燥機の設定パネルを確認してください。
多くの機種には「標準」「パワフル」といったコースの他に、「低温」「デリケート」「おしゃれ着」といった、熱に弱い衣類のためのコースが用意されています。
カッパやレインウェアを乾燥させる際には、必ず「低温」またはそれに準ずる「デリケート」コースを選択してください。
家庭用乾燥機の「低温」って具体的に何度くらい?
乾燥機の「温度」は、メーカーや機種によって若干異なりますが、一般的に家庭用衣類乾燥機の低温設定は、ドラム内の衣類の温度が上がりすぎないよう、排気温度が60℃以下になるよう精密に制御されています。
これは、前述の洗濯表示で「低温タンブル乾燥(上限60℃)」が可能な衣類を安全に乾かすための国際的な基準と一致します。
撥水性を回復させるための最適な設定
ゴアテックスなどの高機能ウェアの撥水性を回復させる「熱処理」を目的とする場合は、ただ乾かすのとは少し手順が異なります。
最大限の効果を引き出すための、プロも実践する設定方法をご紹介します。
- まず、洗濯・すすぎが終わったウェアを、風通しの良い場所で陰干しするか、乾燥機の送風コース(ヒーターを使わない)などを利用して、触って湿り気を感じなくなるまで完全に乾かします。
- 次に、その完全に乾いた状態のウェアを、再度乾燥機に入れます。
この時、他の衣類は入れず、単独で処理するのが理想です。 - 設定は「低温」コースを選択し、タイマーを20分程度に設定して運転を開始します。
この「一度完全に乾かしてから、追加で熱を加える」という一手間が、生地の奥に残った水分を完全に飛ばし、撥水基をムラなく、そしてしっかりと立ち上がらせるための非常に重要なポイントなのです。
乾燥時間は何分が目安?
乾燥にかける時間は、その目的によって明確に使い分ける必要があります。「①単に濡れたものを乾かす」のか、「②撥水性を回復させるための熱処理」なのかを意識して、最適な時間を設定しましょう。
過乾燥は生地へのダメージにつながるため、必要以上に長く運転しないことが肝心です。
① 濡れた状態から乾かす場合
洗濯・脱水後の濡れた状態から乾かす場合は、厚手のTシャツやトレーナーといった、他のデリケートな衣類を乾かす時間を目安にします。
生地の厚みや、脱水がどの程度できているかにもよりますが、まずは低温設定で30分〜60分程度運転し、一度取り出して乾き具合を確認するのが良いでしょう。
ここで重要なのは、最初から90分や120分といった長時間設定にしないことです。
多くのレインウェアは化学繊維でできており、比較的乾きやすい性質があります。
こまめに乾燥具合を確認し、まだ湿っているようであれば10分ずつ延長する、といった丁寧な使い方が、生地へのダメージを最小限に抑えるコツです。
② 撥水性回復のための熱処理の場合
前述の通り、撥水性回復を目的とした熱処理の場合は、ウェアが完全に乾いていることが大前提となります。
この場合の運転時間は、多くのウェアメーカーや素材メーカーが推奨している20分が最適な目安となります。
研究によれば、撥水基の回復に必要な熱エネルギーは20分程度の加熱で十分に与えられるとされています。
これ以上長くかけても効果が劇的に向上するわけではなく、むしろ生地への不要な熱負荷が増え、電気代も無駄になってしまうため、20分という時間を一つの基準として守るようにしましょう。
目的別・時間設定のまとめ
- 乾燥目的(濡れた状態から):低温設定で30分〜60分(必ず途中で乾き具合を確認し、必要なら延長)
- 熱処理目的(乾いた状態から):低温設定で20分
コインランドリー利用時の注意点
ご自宅に乾燥機がない場合や、一度にたくさんのウェアを処理したい時に、コインランドリーは非常に便利な選択肢です。
しかし、家庭用乾燥機と同じ感覚で使うと、思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。一番の違いは、その「圧倒的な火力の強さ」です。
多くのコインランドリーに設置されているのは、パワフルなガスを熱源とする「ガス式乾燥機」です。
これは、家庭用の主流である「電気式乾燥機」に比べて乾燥時間が短いのがメリットですが、その分、温度も非常に高くなりがちです。そのため、いつも以上に慎重な設定と確認が求められます。
プロが教える!コインランドリーでの最重要注意点
- 必ず「低温」コースが選べる機種を使う:温度設定の選択肢がない旧式の乾燥機や、「高温」「中温」しかない機種の使用は絶対に避けましょう。カッパにとっては熱すぎます。
- 時間は極端に短く設定する:まずは10分程度の最短時間で設定し、運転が終了したら必ず一度取り出して、ウェアが熱くなりすぎていないか、生地に異常がないか、そして乾き具合はどうかを必ずその場で確認してください。
- ウェア単独で乾燥させる:他の洗濯物、特にジーンズなどの分厚い綿製品と一緒に入れるのは絶対にやめましょう。
他の衣類が乾くのに合わせて長時間運転すると、カッパだけが過乾燥状態になり、深刻なダメージを受ける原因となります。
アウトドアブランド推奨のランドリーサービスも
※出典 モンベル公式HP
近年、アウトドア用品のメンテナンス需要の高まりを受け、専門的なコースを提供するコインランドリーも増えています。
例えば、大手アウトドアブランドの「モンベル」は、ランドリーサービスを展開する株式会社OKULABと共同で、アウトドア用品のお手入れに特化した「モンベル撥水コース」を開発し、全国の対応店舗で提供しています。
このような専門コースが利用できる店舗であれば、より安心してお手入れを任せることができます。
ワークマンのカッパは乾燥機OK?
ワークマン バッグイン レインジャケット
※出典:楽天市場
圧倒的なコストパフォーマンスと、プロの現場で培われた高い機能性で、今やアウトドア愛好家から一般層まで幅広く支持されているワークマン。
そのレインウェアも非常に多様なラインナップがあり、「自分が愛用しているこのモデルは乾燥機にかけても大丈夫?」と気になる方も非常に多いはずです。
この問いに対する最も正確な答えは、「製品によるため、一概には言えない。必ず個別の洗濯表示を確認する必要がある」ということになります。
なぜなら、ワークマンの製品ポートフォリオは、ゴアテックスのような高機能素材を使用したハイエンドモデルから、現場作業用の安価な塩化ビニル製カッパまで、非常に幅広く、素材も機能も全く異なるためです。
確認すべきポイントと代表的な素材
ワークマンの製品の場合も、これまで解説してきた基本原則は全く同じです。何よりもまず、品質表示タグに記載された洗濯表示を確認してください。
- INAREM(イナレム)など独自開発素材:ワークマンが独自に開発した、高い耐水圧と透湿度を誇る高機能素材「イナレム」などは、その性質上、ゴアテックスと同様に低温での乾燥機使用が可能な場合が多いと考えられます。適切な熱処理による撥水性の回復も期待できるでしょう。
- AEGIS(イージス)シリーズ:ライダーや釣り人に人気の防水防寒ウェア「イージス」シリーズも、モデルによって素材は様々です。ポリウレタンコーティングが主体のモデルも多いため、洗濯表示をより慎重に確認する必要があります。
- 安価な作業用カッパ:塩化ビニル(PVC)が主素材となっている安価なモデルは、熱に極めて弱いため、乾燥機の使用は絶対に避けるべきです。
ワークマンの公式オンラインストアでは、各製品の詳細ページに洗濯表示のアイコンが掲載されていることが多いです。
もしウェアのタグが擦り切れて読みにくくなっていたら、オンラインストアで同じ商品(または後継モデル)を探して、そこの洗濯表示を確認してみるのも非常に有効な手段ですよ。
いずれにしても、個別の製品タグに記載されたメーカーからの指示が絶対です。自己判断はせず、必ず表示に従ってお手入れを行ってください。
撥水性が復活!カッパは乾燥機で大丈夫
この記事では、カッパやレインウェアを乾燥機で安全かつ効果的にお手入れするための、正しい知識と具体的な方法について、詳しく解説しました。最後に、この記事の最も重要なポイントをリスト形式で振り返ってみましょう。
- カッパの乾燥機使用の可否は、まず内側の洗濯表示タグを確認するのが絶対のルール
- 四角に丸が描かれたマークがタンブル乾燥の記号で、×が付いていなければ使用可能
- ×印の「タンブル乾燥禁止」マークがある場合は、絶対に乾燥機に入れない
- 乾燥機が危険と言われる最大の理由は「高温」による生地やパーツへのダメージ
- 縫い目を保護するシームテープが剥がれたり、防水透湿膜が損傷したりする恐れがある
- 安価なカッパに多い塩化ビニル(PVC)素材は熱に極めて弱く、乾燥機は厳禁
- ゴアテックス素材は、むしろ低温乾燥機による熱処理が撥水性回復のために推奨される
- 熱を加えることで、倒れていた撥水基という微細な組織が再び立ち上がるのがその仕組み
- 乾燥機の基本設定は、コース選択ができるなら必ず「低温」または「デリケート」を選ぶ
- 濡れたウェアを乾かす場合は、低温で30分から60分を目安に、様子を見ながら行う
- 撥水性を回復させるための熱処理は、完全に乾いた状態から追加で20分間行うのが最も効果的
- コインランドリーの乾燥機は家庭用より高温・強力なため、必ず低温・最短時間で試す
- ワークマンの製品はモデルによって素材が全く異なるため、個別の洗濯表示確認が必須
- 脱水は1分程度の短時間にするか、手で水気を取るのが洗濯機への負担も少なく安全
- 正しい知識と手順を守れば、乾燥機はカッパの性能を維持する心強い味方になる